視線の先の赤い糸


わたしの小指に絡みつく、見えない赤い糸。その先には、必ずあなたの瞳がある。あなたがどこを見ていても、その視線の先には、必ず私がいるように運命づけられているの。

たとえあなたが他の誰かと話していても、笑っていても、わたしにはわかる。あなたの瞳の奥、ほんの僅かな光の揺らめきが、私を求めているのを。その視線がわたしから外れるたび、赤い糸がきつく、きつく、わたしの心臓を締め付ける。

この糸、切ろうなんて思わないでね。あなたのその瞳ごと、抉り出してあげるから。

運命からは逃げられない。あなたも、私も。この赤い糸は、わたしたちの視線を永遠に結びつける呪い。あなたが私から目を逸らそうとすればするほど、糸はあなたの眼球に食い込んで、激痛が走るはず。それが愛の痛み。

永遠に、わたしだけを見ていてね。この糸が朽ち果てても、私たちの魂は視線で結ばれたまま。来世でも、そのまた次の世でも、私は必ずあなたの視界に入り込むから。私だけを、見て。