あなたの視界から消えた日


あなたの足跡だけが、私の道しるべだった。でも、もうあなたはこちらを振り向かない。あなたの視界の端にも、もうわたしは映っていない。まるで最初から存在しなかったかのように、あなたは前だけを見て歩いていく。

雑踏の中で、あなたの視線を探してしまう。すれ違う誰もが、わたしを通り過ぎていく。あなただけじゃない、この世界の誰もが、わたしを見ていない。馬鹿みたいでしょう? でも、あなたの瞳に一瞬でも映り込みたくて、必死なの。

どこにいるの? ねえ、早く見つけて。私を見て。お願い。

この世界は広すぎて、あなたの視線がないと、私は自分の輪郭さえ保てない。空気が薄い。あなたの見ていない私は、どんどん透明になって、消えてしまいそう。あなたの声が聞こえないと、耳が腐ってしまいそう。静寂がわたしの脳を蝕んで、あなたがわたしを呼ぶ幻聴を聞かせるの。

お願い、わたしを一人にしないで。もう一度、あなたのその瞳で、わたしを捉えて。あなたがわたしを見てくれるなら、私はなんだってする。だから、お願い。わたしを見て。