あなたに見つめられるためのお人形


綺麗な服を着せられて、髪を梳かされて、いつもあなたの視線が一番注がれる場所に座っている。あなたはわたしの手足を取り、あなた好みのポーズをさせる。私はただ、されるがまま。あなたの瞳に映るためなら、なんだってする。

あなたは「可愛いね」って言って、私の隅々までその視線で舐めるように見る。ガラス玉の瞳には、何も映らない。あなたの満足そうな顔と、わたしを見つめるその瞳だけが、ぼんやりと映り込んでいるだけ。

私、ちゃんと見られてる? あなたの理想通りに、映ってる? もし違うなら、あなたの好きなように作り変えて。

魂なんて、いらない。あなたが望むなら、私は完璧なショーケースのお人形になる。食事も、睡眠も、あなたがわたしを見てくれるなら、もういらない。私の世界は、あなたの視線が届く範囲だけ。

だから、見飽きないでね。ずっと、その瞳にわたしを映していてね。もし見飽きたら、燃えないゴミの日にでも捨てて。でも、他の誰かの視線に晒されないように、必ず粉々にしてから捨ててね。あなたは、私の最後の鑑賞者でいて。ずっと。